向山古墳群発掘調査状況

向山古墳群の発掘調査について

主題

 向山古墳群の発掘調査で、平成13年9月20日、第3号墳の主体部(埋葬施設)の中から副葬品の大刀が発見されました。

発掘調査の目的と概要

 三島市教育委員会では向山古墳群の保存活用をはかるため、平成12年3月、向山古墳群保存基本構想及び基本設計を策定し、平成13年1月15日から平成13年10月12日にかけて、史跡整備のための資料を得るための発掘調査を実施しました。
 発掘調査は史跡範囲の約1/2である6,240平方メートルの範囲を対象としています。12基の古墳のうち墳丘・周溝(古墳を区画する溝)を調査したものが5基で、さらにこのうち主体部まで調査したのは3基です。
 発掘調査の結果、5基の古墳について墳形、規模が明らかとなり、第3号、第13号、第14号墳で主体部が確認されました。このほか、12号墳と13号墳の間から墳丘の削平された古墳も新たに見つかっています。

第3号墳で発見された主体部と副葬品

 第3 号墳は当初から前方後円墳と考えられていた古墳で、発掘調査の結果、全長21.5m、後円部径11.6m、前方部幅11.5m、高さ1.9m、幅1.1m~4.2mの周溝を巡らしていることが明らかとなり、出土遺物から6世紀前半に作られたものと推定されました。後円部径と前方部幅がほぼ同一であること、県内でも最小規模のものであることが特徴としてあげられます。
 主体部は後円部のほぼ中央に位置しており、古墳の長軸方向にそって配置されていました。検出された主体部は長方形で、長さ2.7m、幅1.3m、深さ13cmの掘り込みがあり、さらにこの中央に長さ2.1m、幅60cm、深さ1cmの細長い掘り込みがありました。そして2段目の掘り込みの床面から南壁に沿うように副葬品である刀が発見されました。
 出土した刀は鉄製で約1.1mの長さがあり大刀としてよいものです。詳細な検討はこれからですが、県内出土刀の中でも最も大きな部類に属するものと考えられます。主体部は木棺直葬で、隣接する夏梅木古墳群のように横穴式石室が日本に導入される以前の型式で、2段目の掘り込みの形から箱式の木棺が使用されたと考えられます。伊豆地域では向山1号墳、2号墳につづき3例目の検出となりました。
向山古墳群
発見された埋葬施設と大刀(3号墳)               向山古墳群分布図