鼻取り地蔵
昔、今の日出町の光安寺に近い里でのできごとです。
それは、春の田植え仕事で大変忙しく、猫の手も借りたいときでした。ことに、牛を使う「田すき」の鼻取りがいないため、思うように仕事がはかどらないでお百姓さんたちは大変困っていました。
ちょうどその時、身も知らずの小僧さんがひょっこりやってきて、手つきも上手に鼻取りをやってくれるので、お百姓さんたちはとても助かり、大喜びしていました。小僧さんは、朝早くどこからともなくやってきて、日がくれるまで田植え仕事を手伝っては、誰にも知られずにどこかへ消えてしまいます。
それが、何日も続きましたので、不思議に思ったお百姓さんたちが、ある日皆で話しあってこの小僧さんのあとをつけることにしました。
一日の仕事が終って里人が家に帰るころ、小僧さんはいつものようにそっと田んぼから離れ、三島宿のほうへ急いで歩き始めました。お百姓さんたちは小僧さんに気付かれないようにあとをつけました。
小僧さんが、あまり速く歩くので、お百姓さんたちは見失わないように一生懸命でした。やっとのことであとをつけていくと、とうとう、小僧さんが山門をくぐって光安寺の境内に消えるところを見つけました。小僧さんは、お寺の裏に行かずに直接本堂に入っていきました。
ようやく、この小僧さんの秘密が分かりかけてきたお百姓さんたちは、灯をつけて本堂に入ると、本堂の畳には小僧さんの足跡がそこに祭られていたお地蔵さまの下まで続いていました。
きっと、やさしいお地蔵さまが、一生懸命働くお百姓さんたちを助けるために手伝ってくれたのでしょう。それから、光安寺のお地蔵さまは鼻取り地蔵と呼ばれるようになりました。
それは、春の田植え仕事で大変忙しく、猫の手も借りたいときでした。ことに、牛を使う「田すき」の鼻取りがいないため、思うように仕事がはかどらないでお百姓さんたちは大変困っていました。
ちょうどその時、身も知らずの小僧さんがひょっこりやってきて、手つきも上手に鼻取りをやってくれるので、お百姓さんたちはとても助かり、大喜びしていました。小僧さんは、朝早くどこからともなくやってきて、日がくれるまで田植え仕事を手伝っては、誰にも知られずにどこかへ消えてしまいます。
それが、何日も続きましたので、不思議に思ったお百姓さんたちが、ある日皆で話しあってこの小僧さんのあとをつけることにしました。
一日の仕事が終って里人が家に帰るころ、小僧さんはいつものようにそっと田んぼから離れ、三島宿のほうへ急いで歩き始めました。お百姓さんたちは小僧さんに気付かれないようにあとをつけました。
小僧さんが、あまり速く歩くので、お百姓さんたちは見失わないように一生懸命でした。やっとのことであとをつけていくと、とうとう、小僧さんが山門をくぐって光安寺の境内に消えるところを見つけました。小僧さんは、お寺の裏に行かずに直接本堂に入っていきました。
ようやく、この小僧さんの秘密が分かりかけてきたお百姓さんたちは、灯をつけて本堂に入ると、本堂の畳には小僧さんの足跡がそこに祭られていたお地蔵さまの下まで続いていました。
きっと、やさしいお地蔵さまが、一生懸命働くお百姓さんたちを助けるために手伝ってくれたのでしょう。それから、光安寺のお地蔵さまは鼻取り地蔵と呼ばれるようになりました。