三島の村名8 鶴喰(つるはみ)―その2―(中郷地区)―周福寺― (平成28年10月1日号)

 鶴喰の飛び地に宝鼎山(ほうていざん)周福寺があります。青木集落の中にあるため、「青木の周福寺」と称されますが、鶴喰の寺院です。

 ここは源頼朝と縁が深く、寺伝によると頼朝が源氏再興のため三嶋大社に百日の祈願に参詣した折、俎板原(まないたばら・東本町一帯の旧地名)の稲荷社〈間眠(まどろみ)神社〉の前に草堂があり、ここで巳(み) の刻(午前十時ごろ)を待って仮眠をとっていたところ、本尊薬師如来が現れ吉兆を告げる霊夢を見た、と伝わります。頼朝はその印として堂の傍らに松を植え、「まどろみの松」と名付けます。

 後に鎌倉に幕府を開くと、仏恩に報いるため、建久年間(一一九〇~九八)に、現在地に寺を建立し祈願所としたということです。

 一般に伝わる「まどろみの松」伝説とは異なりますが、頼朝の篤(あつ)い信仰心を示す伝承です。

【広報みしま 平成28年10月1日号掲載記事】