三島の村名3 山中新田(錦田地区)―芝切地蔵尊― (平成27年12月1日号)

 山中城跡の東南、箱根旧街道沿い山中新田集落入口に芝切地蔵尊があります。急な石段を登ると境内には切芝が積んであり、一説ではこの地蔵尊は宗閑寺(そうかんじ)で宿をとった旅人を祀(まつ)ったものと伝わっています。

 昔、宗閑寺に一夜の宿をとった巡礼の旅人が腹痛で倒れ、この世を去る間際に「私を地蔵尊として祀り、芝塚を積み故郷の常陸国(ひたちのくに)が見えるようにしてくれるなら、村人の健康や、世の人々の難病を救います。」と言い残したそうです。以来、七月十九日を供養の日として縁日が行われ、小麦饅頭(まんじゅう)、お札、腹掛(はらかけ)を販売しました。戦前は、伊豆から富士まで多くの信者がおり、縁日は三島の町まで人波ができるほどにぎわったそうです。現在では供養日近くの日曜日に地元の行事として行われており、縁日ではお札・腹掛のみ販売しています。

絵葉書「芝切地蔵尊」(大正中期~昭和初期)
▲絵葉書「芝切地蔵尊」(大正中期~昭和初期)

【広報みしま 平成27年12月1日号掲載記事】