ふるさとの人物ゆかりの地14 小出正吾(こいでしょうご)とその祖父 (平成27年5月1日号)

 小出正吾は、明治三十年(一八九七)、三嶋大社近くの小出家に生まれた児童文学者で、三島を題材にした作品を多く残しました。

 明治八年(一八七五)ごろ、大社前でキリスト教宣教師が辻説法を行っていると、群衆に囲まれ騒ぎになったことがありました。正吾の祖父、市兵衛(いちべえ)は彼をひそかに救い、家にかくまいます。気付いた人々が家に押しかけますが、皆普段から市兵衛を頼りにしていたため、「市兵衛さんでは、しかたない」と引き上げていったそうです。しかし翌朝、門と塀に真っ黒なコールタールがかけられていました。そこで市兵衛は「いっそのこと、全部黒塗りにしてしまおう」と門から塀まで残すところなく塗り上げてしまったそうです。

 この事件が小出正吾の短編「黒い門」の題材となりました。

小出正吾生誕の地(中央町)
▲小出正吾生誕の地(中央町)

【広報みしま 平成27年5月1日号掲載記事】