箱根西坂の史跡5  雲助徳利(くもすけとっくり)の墓  (平成19年6月1日号)

 雲助の墓は、駒形諏訪(こまがたすわ)神社(山中新田)の向かいにあります。墓石には盃(さかずき)と徳利が浮き彫(ぼ)りにされ、その下には「久四郎」という名が刻(きざ)まれています。

 雲助とは江戸時代に宿場や街道で駕籠(かご)かきや荷物の運搬(うんぱん)をした人のことをいいます。そのなかには悪さをする者もいました。この墓の雲助は日頃、仲間の取り締まりをしていましたが、困っている仲 間や若者の面倒をよくみてやり、仲間から慕われていました。また、街道筋の百姓からも厚い信頼を受けていました。

 彼は終生酒を愛し、酒を楽しみ、酒の中で一生を終わりました。その死後、彼を慕う後輩の雲助や土地の人々の手によって、盃と徳利を刻んだこの墓がたてられました。現在でも、墓前には花が手向(たむ)けられています。

【広報みしま 平成19年6月1日号掲載記事】