国の登録有形文化財
国の登録有形文化財とは
文化財登録制度は、平成8年の文化財保護法改正のとき導入された新しい制度です。従来の指定制度はもとあった状態を変えないことを基本に厳しい規制が設けられています。しかし、文化財を幅広く保護する必要性が認識される中で、従来の指定制度は日常的にそれを使用している所有者にとって非常に不便な制度であるため、ゆるやかな規制のもとで「文化財を自由に活用しながら保存していく」という考え方でつくられたのがこの登録制度です。
建築後50年を経過していて「国土の歴史的景観に寄与しているもの」「造形の規範となっているもの」「再現することが容易ではないもの」のいずれかの条件を満たすものが登録の対象となります。近代(明治以降)に建造・製作されたものが主ですが、江戸時代のものも登録対象になっています。現在も住居や旅館などで実際に使用しているものでも対象とされる点など、より身近な印象を受けるところに魅力があるともいえるでしょう。登録されると登録証と写真のようなプレートが交付されます。
最初は「建築物」を対象としていましたが、平成16年の法改正では、「有形民俗文化財」や「記念物」など、建造物以外の有形文化財にまで登録制度の範囲も拡大されています。
▲登録有形文化財プレート
三島市では、以下の9件が登録されています。リーフレットはこちら
建築後50年を経過していて「国土の歴史的景観に寄与しているもの」「造形の規範となっているもの」「再現することが容易ではないもの」のいずれかの条件を満たすものが登録の対象となります。近代(明治以降)に建造・製作されたものが主ですが、江戸時代のものも登録対象になっています。現在も住居や旅館などで実際に使用しているものでも対象とされる点など、より身近な印象を受けるところに魅力があるともいえるでしょう。登録されると登録証と写真のようなプレートが交付されます。
最初は「建築物」を対象としていましたが、平成16年の法改正では、「有形民俗文化財」や「記念物」など、建造物以外の有形文化財にまで登録制度の範囲も拡大されています。
▲登録有形文化財プレート
三島市では、以下の9件が登録されています。リーフレットはこちら
登録有形文化財一覧
名称 | 構造及び形式 | 所在地 | 建築年代等 | 指定年月日 | |
1 | 隆泉苑 | 木造平屋建、瓦葺 | 中田町 | 昭和6年 | H9.11.5 |
2 | 隆泉苑表門 | 木造四脚門袖塀付、瓦葺 | 中田町 | 昭和6年 | H9.12.12 |
3 | 懐古堂ムラカミ屋 | 木造2階建、鉄板葺 | 大社町 | 大正15年 | H12.10.18 |
4 | 三嶋暦師の館 (旧河合家住宅主屋) |
木造平屋建、瓦葺 | 大宮町 | 江戸末期 | H18.10.18 |
5 | 梅御殿 | 木造2階建、銅板葺 | 一番町 | 明治中期 | H18.10.18 |
6 | 丸平商店店舗 | 木造2階建、瓦葺 | 中央町 | 明治初期 | H18.10.18 |
7 | 丸平商店土蔵 | 土蔵造及び石造2階建、瓦葺 | 中央町 | 明治初期 | H18.10.18 |
8 | 旧三島測候所庁舎 | 鉄筋コンクリート造2階建 | 東本町 | 昭和5年 | H19.5.15 | 9 | 旧小松宮別邸桜御殿 | 木造2階建、瓦葺 | 一番町 | 明治25年 | R1.12.5 |
【隆泉苑】『りゅうせんえん』 登録年月日 平成9年11月5日《登録番号 第22-0006号》 隆泉苑は佐野美術館(昭和41年開館)の設立者、佐野隆一氏が故郷の両親のために昭和6年に建て、昭和52年、遺族により同館に寄贈されたものです。同美術館の敷地内にあり、庭園を含めた敷地6,000平方メートル余りの中に建つ平屋建の家屋です。伝統的な木造工法による書院造りと数寄屋造りを併せ持ち、回遊式庭園が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口 伊豆箱根鉄道「三島田町駅」下車徒歩3分 |
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【隆泉苑表門】『りゅうせんえん おもてもん』 登録年月日 平成9年12月12日《登録番号 第22-0008号》 昭和6年に建てられた間口の広い両袖塀付(りょうそでへいつき)の四脚門で、切妻造(きりつまづく)り、瓦葺(かわらぶき)の構造になっています。表門の意匠は左右の袖壁と一体的で、上端を開放的に仕上げ、土壁の腰下を縦板貼りとしています。全体に簡素な造りとしながら、ケヤキの一枚板を用いた門扉は見応えがあり、訪れる人々を魅了しています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口 伊豆箱根鉄道「三島田町駅」下車徒歩3分 |
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【懐古堂ムラカミ屋】『かいこどう むらかみや』 登録年月日 平成12年10月18日《登録番号 第22-0071号》 大正12年の関東大震災、昭和5年の北伊豆震災後の復興により、三島市では大正末から昭和初期に多くの建物が数多く建て替えられました。懐古堂ムラカミ屋(旧ムラカミ洋品店・大正15年建築)は、三嶋大社前という当時の商業地域の中心に位置し、その建築年代や意匠から、三島のまち並みを代表する、壁に銅板を張った看板建築のひとつといえるでしょう。 《アクセス方法》 JR三島駅南口より徒歩10分(三嶋大社の南約50メートル) |
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【三嶋暦師の館(旧河合家住宅主屋)】『みしまごよみしのやかた』 登録年月日 平成18年10月18日《登録番号 第22-0113号》 河合家は三嶋暦を製作していた三嶋大社の社家です。建物は木造平屋建、漆喰(しっくい)塗りの真壁造(しんかべづく)りで、屋根は現在では作られていない特殊な瓦葺となっており『起(むく)り破風(はふ)』の屋根をもつ式台玄関に特色があります。同家の言い伝えでは、幕末に旧家屋が焼失した後、韮山代官の江川英龍(坦庵)の計らいで裾野市十里木の関所を解体・移築したということです。平成17年4月から三島市では「三嶋暦師の館」として一般公開しています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口より徒歩15分(三嶋大社の東約300メートル) |
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【梅御殿】『うめごてん』 登録年月日 平成18年10月18日《登録番号 第22-0114号》 梅御殿は楽寿園の中に建つ木造2階建ての建物です。明治23年の小松宮彰仁親王別邸造営の際、京都御所の一部を下賜され、主室の床柱に梅の木が使われていることから梅御殿、また、その主座敷を梅の間と呼びます。高床式(たかゆかしき)書院(しょいん)数寄屋造(すきやづくり)の邸宅は簡素な趣をもつ書院風のもので、京都画壇の画家による彩色の杉戸絵や襖絵があり、宮家の独特な雰囲気を持っています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口より徒歩5分(三島市立公園楽寿園内) 詳しくはこちらへどうぞ。 |
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【旧三島測候所庁舎】『きゅう みしまそっこうじょちょうしゃ』 登録年月日 平成19年5月15日《登録番号 第22-0121号》 三島測候所は昭和5年の竣工後、同年11月に発生した北伊豆地震の被害から免れた鉄筋コンクリート造の建物です。正面中央部が2階、両端部が1階建ての左右対称の外観となっています。モダニズムを基調とし、正面2階窓台を半円状に張り出し、玄関のくし型の欄間にステンドグラスをはめ込むなど、実用性と機能性を重視するこの種の建築には珍しい意匠性を持つことが特徴です。 《アクセス方法》 JR三島駅南口 伊豆箱根鉄道「三島二日町駅」下車徒歩7分 |
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【丸平商店店舗】『まるへいしょうてん てんぽ』 登録年月日 平成18年10月18日《登録番号 第22-0115号》 明治初期に建てられた木造2階建ての商店建築です。平成15年には金物店から飲食店に改装されました。建物の外部は当時の防火建築である土蔵風仕上げ。壁の漆喰やなまこ壁、正面入口の広い間口と大きなガラス戸の意匠、両脇の石造壁、軒を支える太い垂木の構造などに特色があり、三島市内では屈指の文化財的建造物といえるでしょう。 《アクセス方法》 JR三島駅南口から徒歩10分(三嶋大社の西約50メートル) |
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【丸平商店土蔵】『まるへいしょうてん どぞう』 登録年月日 平成18年10月18日《登録番号 第22-0116号》 この土蔵は店舗部分を飲食店に改装した際に店舗の一部として改装されました。建物の構造は土蔵造りとなっており、外部は腰が石造り、外壁が土壁下地の漆喰塗り仕上げで、窓など開口部周りは防火戸に仕上げてあります。内部は松材を使い、床をたたき風の土間に変えてありますが、階段部分をわずかに改修したほかはほぼ建築当時の姿が残されています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口から徒歩10分(三嶋大社の西約50メートル) |
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【旧小松宮別邸桜御殿】『きゅうこまつのみやべってい さくらごてん』 登録年月日 令和元年12月5日《登録番号 第22-0283号》 桜御殿は京風の書院造で、宮家独特の品格の高い雰囲気を持っています。本来は梅御殿と渡り廊下で結ばれた一続きの建物で、1階の床柱は皮付きの桜、2階の床柱には桜の磨き丸太を使用していることから桜御殿と呼ばれました。敷地高台の最北部に建つ宮様の私的な建物で、2階御寝所の主座敷からは富士山の眺望を楽しめます。また建築装飾は、親王好みといわれる菱菊文の釘隠し、七宝の引手、出書院透かし欄間、照明器具など高格で瀟洒(しょうしゃ)な意匠で統一されています。 《アクセス方法》 JR三島駅南口より徒歩5分(三島市立公園楽寿園内) |
●登録有形文化財マップ