(第386号)企画展「三島宿のジオと歴史~写真とマンガで見る~」(令和2年7月1日号)

 三島市郷土資料館では、静岡県地学会東部支部との共催で、ジオと歴史を一度に学べる特別展を開催します。今回はこの特別展の見どころをご紹介します。

 「伊豆半島ジオパーク」が世界ジオパークに認定されてから2年経ちました。

 ジオパークと聞くと多くの人は特異な地形や地質が織りなす大自然を連想します。しかし、ジオパークの構成資産は、地域の「歴史・文化・産業」と「地形・地質」が同等に重要とされています。そのため、今回はジ オの視点で三島宿の生い立ちを紹介します。

 江戸時代に三島宿が繁栄したのは、東海道最大の障害物である箱根火山があったからです。この箱根火山の存在で三島宿独自の文化や歴史が育まれました。  

 また、約7万年前の箱根火山の火砕流は山麓部に平坦な地形を作り、縄文時代人の居住地となりました。現在では再開発され、何万人もの三島市民が住んでいます。その表層には、富士火山の火山灰が厚く積もり「箱 根西麓三島野菜」と呼ばれる特産物を生み出しました。  

 三島宿を育んだもう一つは富士火山です。約1万年前に富士火山より流出した「三島溶岩流」は現在の三島市街地を埋め立てました。今も楽寿園より北側の各所に露出しています。  

 ゴツゴツの溶岩露出地は、居住・耕作に適さず、古墳時代以降は主に墓域として利用され、江戸時代には、楽寿園とその周辺にたくさんの寺院がありました。そして現代に至り、この硬い地盤と豊富な地下水などが評 価され、利用価値が大きく変化しました。  

 約2900年前、富士山東斜面が大崩壊し、巨大土石流「御殿場泥流」が発生し、三島市域の南半を埋め立て、やや南に傾く平らな土地を作りました。弥生時代以降、人々はこの平坦地に住み、三島溶岩末端から湧き だす水を水田・生活用水に活用し、「三島宿」を成立させました。火山の恵みを享受し、発展してきた三島宿の特徴をよく表しているジオポイント10ヶ所を、静岡県地学会東部支部の協力で選びました。三島宿の歴史は楽しいマンガで紹介します。  

 今年は小浜池の水位も高くなりそうです。同時にぜひご鑑賞ください。

三嶋大社の大鳥居

三嶋大社の大鳥居:小豆島産の花崗岩(かこうがん)製です



三嶋大社の大大鳥居(マンガ)

三嶋大社の大鳥居:マンガで描きました



【広報みしま 令和2年7月1日号掲載記事】