ふるさと探訪
箱根西坂の史跡8 芝切地蔵(しばきりじぞう) (平成19年9月1日号)
山中新田にある「芝切地蔵堂」には、江戸時代から伝わる次のような話があります。
ある夜、巡礼の旅人が宗閑寺(そうかんじ)に一夜の宿を頼みますが、突然腹痛に襲われ亡くなりました。旅人は亡くなる直前に「私をこの地で地蔵尊として祀(まつ)ってください。そして芝を積んで芝塚をつくり、故郷の常陸国〈ひたちのくに(茨城県)〉が見えるようにしてください。そうすれば村の人や世の中の人々の難病を救いましょう」と言い残したそうです。
こうして旅人は芝切地蔵尊として葬(ほうむ)られ、今でも毎年7月中旬にお祭りが催されています。そこで
売られる「お札」や「腹掛け」は、お腹の病に効くと評判です。また、戦前は伊豆一円や富士・沼津など遠方からもこの日に多くの信者が集まり、参拝者の列が三島まで続いたといわれています。
【広報みしま 平成19年9月1日号掲載記事】
ふるさと探訪(2007年度)
- (第238号)大工道具~墨壺~ (平成20年3月1日号)
- (第237号)東海道を通った人・もの【2】~将軍とお茶壺、赤穂浪士など~ (平成20年2月1日号)
- (第236号)東海道を通った人・もの【1】~朝鮮通信使~ (平成20年1月1日号)
- (第235号)東海道の名物~県内の街道名物~ (平成19年12月1日号)
- (第234号)楽寿園の名宝 (平成19年11月1日号)
- (第233号)受け継がれてきたきた楽寿園 (平成19年10月1日号)
- (第232号)ふるさとの人物(後編) (平成19年9月1日号)
- (第231号)ふるさとの人物―太宰治・大岡博・小出正吾・五所平之助― (平成19年8月1日号)
- (第230号)ふるさとの人物(前篇) (平成19年7月1日号)
- (第229号)甲斐・相模・駿河の三国同盟 (平成19年6月1日号)
- (第228号)時代を駆けた三島の女性たち 近代の解放と呪縛 (平成19年5月1日号)
- (第227号)明治初期の女子教育のルーツ 花島家と薔薇女学校 (平成19年4月1日号)