三島の歌碑・句碑1 すむ水の 清きをうつす 我が心 -宗祇-  (平成21年1月1日号)

 この句は、室町時代の連歌師(れんがし)である飯尾宗祇(いいおそうぎ・1421~1502)が三嶋大社に奉納した「三島千句(みしませんく)」に収められています。

 宗祇は三島で文明3(1471)年の1月から4月にかけて、武将・歌人でもある東常縁(とうのつねより)から古今和歌集に関する秘伝を授かりました(これが、古今伝授(こきんでんじゅ)の形式化の始まりといわれる)。この時に常縁の息子である竹一丸(たけいちまる)が風邪を患(わずら)ったために快癒(かいゆ)を祈念して奉納したのがこの宗祇独吟(どくぎん)「三島千句」です。

 独吟千句とは連歌の一形式で、一人の詠み手が上の句と下の句を交互に一定のルールに従い千句まで詠み進めていくものです。

 冒頭(発句)には「なべて世の風を治めよ神の春」とあり、竹一丸の平癒(へいゆ)祈願と同時に、応仁の乱 で乱れた世を鎮(しず)めてくれという平和への願いが織り込まれています。

【広報みしま 平成21年1月1日号掲載記事】