歴史の小箱
(第383号)近代的な学校教育のはじまり(令和2年4月1日号)
四月といえば新生活のはじまりです。もうすぐ入学式という皆さん、おめでとうございます!そんなフレッシュな気持ちの今月は、明治時代の「学校のはじまり」について紹介します。
現在の日本には、公立や私立、女子校や男子校などさまざまな学校がありますが、どの学校も国の定めた教育方針やカリキュラムに則った教育を行っています(外国人学校などを除く)。こうした全国的な学校制度が確立したのは、明治時代のことでした。
江戸時代以前、幕府や藩が設置した公的な教育機関は主に武士の子弟を対象としており、庶民は地域の漢学者などが開いた私塾や寺子屋に通っていました。つまり、身分や地域、親の家業などによって受ける教育が違っていました。明治時代になると、政府は富国強兵を目指す上で全国民を対象とした教育機会が不可欠だと考えました。そこで、明治五年に身分や地域に関係なく全国統一的な学校教育を行うことを決めた学制が制定されました。近代的な学校教育のはじまりです。
三島で最も早く設立された小学校は、現在の三島市役所中央町別館の場所に設立された開心庠舎(かいしんしょうしゃ)です。当初は有志によって設立された私塾でしたが、明治六年に官立三島学校(のち三島黌/みしまこう)となりました。当時の先生には漢学者が多く、漢学の素養も教えられたようですが、西洋の地理など新時代に即した新しい教育も行われていたようです。
明治時代は、女子教育や幼児教育にも目を向けられるようになった時代でした。三島ではアメリカ人教師を招いて英語教育に力を入れた薔花女学校や、伊豆で最初の公立女学校である三島高等女学校が設立されました。明治二十二年には、三島尋常小学校付属幼稚園が設立されています。
これまで、時代によって教育のあり方はさまざまに変化してきました。現在では小学校でも外国語やプログラミング教育が始まるなど、今の大人が受けた教育内容とは変わってきているようです。しかし、いつの時代
も先生や保護者は、たくさん学んで豊かな学校生活を送ってほしいと子どもたちに願っていることでしょう。この春入学を迎えた皆さんが充実した学校生活を送れるよう、お祈りしています!
江戸時代から広く読まれていた歴史書『日本外史』
現在の三島市役所近くにあった薔花女学校
【広報みしま 令和2年4月1日号掲載記事】
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