歴史の小箱
(第149号) ~魔よけの模様~ 「麻の葉模様」 (平成12年10月1日号)
かつては、生まれてきた赤ん坊の産着にはていねいに麻の葉模様が縫い取られていました。
今でも赤ちゃんに着せる肌着には麻の葉模様がプリントされています。
また女性の着物の下着である肌襦袢【はだじゅばん】や腰巻にもしばしば麻の葉模様が使用されています。
この麻の葉模様は、3ヶ月で2メートル以上伸びる麻にあやかり、まっすぐ大きく成長するように、素直な心の持ち主になるようにと願う親の気持ちが込められています。また、麻の葉模様は魔よけの模様とも考えられています。
麻は縄文時代から日本人に利用されていました。丈夫なため、縄に使用され衣料の材料でした。
特に大麻【たいま】は神社の神事に欠かすことのできない材料です。古来から麻は神聖なものとして扱われ、麻に神仏が降りたとされています。御幣【ごへい】、鈴縄、狩衣、巫女【みこ】の髪紐には大麻が使用され、昔は伊勢神宮の大麻(御札)もまた麻の紙だったといわれます。
(広報みしま 平成12年10月1日号掲載記事)
※内容の一部を修正しました(令和6年10月12日)
歴史の小箱(2000年度)
- (第154号) ~東海道の往来で賑わった~ 「三島宿」の復元模型 (平成13年3月1日号)
- (第153号) ~歌舞伎で人気があった~ 三島の「おせん」(2) (平成13年2月1日号)
- (第152号) ~浮世絵に描かれた美女~ 三島の「おせん」 (平成13年1月1日号)
- (第151号) ~姿を消した~ 「竹製品」 (平成12年12月1日号)
- (第150号) ~木のぬくもり~ 「風呂桶」 (平成12年11月1日号)
- (第149号) ~魔よけの模様~ 「麻の葉模様」 (平成12年10月1日号)
- (第148号) ~楽寿園の昔の姿を伝える~ 「小浜丘の図」 (平成12年9月1日号)
- (第147号) ~伝統の技を伝える~ 「セイロ(曲物【まげもの】)と職人」 (平成12年8月1日号)
- (第146号) ~布や紙のリサイクル~ 「ボッコ帯と(裂織帯【さきおりおび】)と糸玉」 (平成12年7月1日号)
- (第145号) ~一家総出の農作業~ 「田植えと牛」 (平成12年6月1日号)
- (第144号) ~中郷の夏の象徴~ 「お天王さんの神輿【みこし】」 (平成12年5月1日号)
- (第143号) ~中郷の農家の人たちが一体となった~コンビナート反対運動の幟 (平成12年4月1日号)