ふるさと探訪
三島の歌碑・句碑5 町なかに 富士の地下水 湧きわきて 冬あたたかに こむる水靄 ―穂積 忠― (平成21年5月1日号)
この歌は、大仁町(現伊豆の国市)出身の歌人・穂積忠(きよし・1901~1954)が詠んだ歌です。歌集『叢(くさむら)』の中に収められた「三島市」という五首連作の中の一首です。
作者は韮山中学(現韮山高校)時代から北原白秋に師事し、四季折々の伊豆や三島の風景を歌にしました。また教育者としても活躍され、三島北高校や三島南高校の校長を歴任しました。
標題の歌は昭和28年の作ということで、三島の街中にはまだ富士の湧水がこんこんと湧き出ていたころのものです。冬の朝でしょうか、靄(もや)があたり一面に立ち込め、まるで歌川広重の浮世絵「朝霧」を思い起こすかのような光景が詠まれています。町中を湧水が溢れていた往時の三島がしのばれます。
【広報みしま 平成21年5月1日号掲載記事】
ふるさと探訪(2009年度)
- (第262号)中川宗淵老師【1】 (平成22年3月1日号)
- (第261号)なついかしのチンチン電車 (平成22年2月1日号)
- (第260号)駅弁のいま・むかし (平成22年1月1日号)
- (第259号)伊豆箱根鉄道史 (平成21年12月1日号)
- (第258号)百人一首いろいろ (平成21年11月1日号)
- (第257号)第二十四回国民文化祭 小倉百人一首かるた競技全国大会 (平成21年10月1日号)
- (第256号)第二十四回国民文化祭 邦楽の祭典 (平成21年9月1日号)
- (第255号)館蔵資料紹介 長谷川雪旦関連資料 (平成21年8月1日号)
- (第254号)国立遺伝学研究所六十周年 ミシマザクラと竹中博士 (平成21年7月1日号)
- (第253号)日本文学資料館の資料から ・北杜夫と永井ふさ子・ (平成21年6月1日号)
- (第252号)開業40年を迎えた新幹線三島駅 (平成21年5月1日号)
- (第251号)屏風に描かれたふるさと三島【2】 (平成21年4月1日号)