歴史の小箱
(第50号) 懐しい川漁の道具 モジリ・ハヤビン (平成3年8月1日号)
三島の男の子なら、誰しも、川で魚を追って遊んだ思い出を持っているものと思います。それが大人なら、なおさら楽しい少年時代を思い出すことでしょう。
今では珍しい、モジリやハヤビンを使った川漁の話題で、昔懐かしい三島の清流での川遊びを忍んでみました。
モジリは竹製。魚が入り込むロの部分にはコシタ(有舌の筌が付けてあり、一度モジリに入った魚が逃げ出せないように工夫してあります。このモジリを、器用な人なら自分でこしらえたものだそうです。その方が慣れ親しんだ川の流れに合うし、使い勝手も良かったからです。モジリにはウナギモジリ、カニモジリ、雑魚モジリなどがあって、それぞれ、取ろうとする魚によって形も大ききも異なっていました。
仕掛けるのは夕方。魚をおびき寄せる餌(鰻の場合はミミズ)を入れ、ロを下流に向けて、モジリが流きれないように石で押さえたり、紐で縛り付けておいたりしました。そして、楽しみなのは翌朝です。モジリの中には、「よいしょ」と言うほど大量の鰻が入っていたものでした。
ハヤビンはガラス製。形は基本的にはモジリと同じです。やはり一度入った獲物を逃がさないためのコシタがあります。丸みを帯びていて、胴の短かい、ごろんとした形はどことなくユーモラスにも見えます。昔はどこのガラス屋でも売られていたものでしたが、今はもうありません。川に仕掛ける子供もいなくなったということでしょう。
ハヤは清流の魚。市内を流れる桜川や御殿川、源兵衛川、宮さんの川にはたくさん生息していました。ハヤビンの中には餌のミミズやダシコを入れて、川草で研が動かないようにし、ガラスが割れないように注意深く重しを乗せて、仕掛けは完了。後はハヤビンを上げるのを待つばかりでした。
(広報みしま 平成3年8月1日号掲載記事)
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