歴史の小箱
(第327号)移りゆく時代のおもちゃ―モダンな大正時代―(平成27年8月1日号)
明治時代以降、日本では西欧化が進み、生活様式も変化していきました。大正時代は都市部に百貨店が建ち、多くの雑誌も刊行され、大衆文化が花開きました。衣食住は洋風化が進み、洋服・洋食が普及しました。この時代、産業や経済の発展とともに、西洋文化や商品なども国民の間に広がりました。
また、第一次世界大戦の影響により、玩具王国ドイツが戦火に包まれたため、日本の玩具は世界に進出・発展を遂げました。日本経済が成長をする中で、昔ながらのあそびや、木製・竹製・紙製などの玩具がある一方、めんこ・ベーゴマ・ビー玉・おはじきが流行し、ブリキ・セルロイド製の玩具が世に出てきました。大正時代は、こどもたちのあそびが多様化していく時代でもありました。
【セルロイドのおもちゃ】
日本人は舶来ものに関心が高く、セルロイド製のキューピー人形が流行しました。写真①は、セルロイドで作ら
れた、ウサギの人形です。ブリキ製の乳母車に子どもが三匹乗っていて親子で散歩しているようです。
【ブリキのおもちゃ】
道路や交通機関が整備され、電車・飛行機・自動車といった動く玩具も普及しました。写真②は、ゼンマイ式のブリキの車です。乗り合いタクシーでしょうか、洋風の服を着た親子と、その横には中国風の人々、裏側には洋装の子どもと和装に日本髪の女性が乗っています。
【絵本の中のモダンな街並み】
絵本からはその時代背景が分かります。明治・大正時代と次第に発展を遂げた日本の交通網は、汽車・市電(路面電車)・タクシー・バスと徐々に市民の足の幅を広げていきました。大正十二年(一九二三)、関東大震災により東京の交通機関は壊滅的な被害を受けますが、これにより自動車が普及します。写真③は、震災の影響を受
けていない大阪で、大正十二年に発行された『汽車ト乗物』という絵本です。そこには黒い煙を出して走る汽車、道路を走る市電、その横を通る車など、この時代に活躍した乗物が描かれています。市電の後ろには、洋風の建物も建ち、街並みの変化が分かります。
【広報みしま 平成27年8月1日号掲載記事】
歴史の小箱(2015年度)
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