歴史の小箱
(第330号)三島の絵はがき2―災害絵はがき―(平成27年11月1日号)
前回は、色使いやデザインが美しい記念絵はがきを紹介しましたが、今回は一転して、辛い記憶を刻んだ絵はがきを紹介します。
テレビや写真雑誌などがない時代、絵葉書は社会のできごとを伝えるメディアのような役割もありました。災害や事件が起こると、臨場感のある場面がすぐさま絵はがきとして販売され、全国に流通しました。三島で起こった災害の様子も絵はがきに記録され、当時の被害の様子を今に伝えています。
大正十二年(一九二三)九月一日、相模湾沖を震源とする関東大震災が発生し、東京・神奈川を中心に甚大な被害をもたらしました。静岡県東部も震度六の揺れに襲われ、三島では家屋全壊十三軒、死傷者五人の被害がありました。
写真①は、三島町(※)の被害の様子です。絵はがきからは、建物が大きく崩れていることから、被害の大きさがよくわかります。
※大正十二年当時の三島町は、旧東海道を中心とした地域(東西は大場川から境川、南北は国道一号線辺りからJR東海道線辺り)です。
関東大震災に見舞われた七年後の昭和五年(一九三〇)、丹那盆地を震源とする北伊豆震災が発生し、関東大震災を上回る、家屋全壊三三六軒、死傷者一四〇人という甚大な被害に遭いました。その惨状や軍隊・青年団などによる救護活動の様子が絵はがきに残されています。
写真②は、旧東海道、大通り商店街の様子です。沿道の商店が軒並み潰れ、商店街は壊滅的な被害を受けたことがわかります。この後の復興事業では道路が拡幅され、現在の広さになりました。
このような絵はがきが残されているおかげで、現在の私たちもかつて三島が被った被害の大きさを感じることができます。
【広報みしま 平成27年11月1日号掲載記事】
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