歴史の小箱
(第332号)三島のまつりの今―各地のドンド焼き―(平成28年1月1日号)
ドンド焼きとは小正月(一月十五日前後)に行われる火まつりで、地域で集めた竹や正月飾り、書初めなどを山のように積みあげて燃やす、子どもたちが主体のまつりです。伊豆から関東・甲信地方にかけては道祖神と呼ばれる石造物(サイノカミともよぶ)と関連したまつりとされ、かつては炎の中に道祖神を投げ入れる地区もあっ
たそうです。
しかし、近年ではその関係は薄くなるか、まったく意識されなくなっているようです。火で米粉の団子を焼くこと、山の真ん中にオンベと呼ばれる長い竹を立てることなどが主な共通点です。
以前は一月十四日または十五日がまつりの日でしたが、現在では地区によりさまざまです。また、まつりの主体や内容にも地区による差が見られます。
安久地区では、子ども会とは異なる「安久子供クラブ」という自主的な団体により実施されています。
佐野地区の特徴は、ドンド焼きの数日前から地区内の各所にある道祖神が正月飾りで飾られ、前日または当日の午前中に田んぼなどに積み上げられます。ここでは今でも道祖神と関連付けてドンド焼きが行われています。
佐野見晴台では、単に子どもたちのまつりというだけでなく、災害時の炊き出しの訓練にもなる餅つきや、シャギリの演奏などさまざまな催しが併せて行われます。住民は子どもの有無にかかわらず参加するため非常に大規模な行事になっています。
昔は竹の切り出しなどの準備段階から子どもが中心でした。となりの地区の山を壊しに行くこともあったそうですが、そのような荒っぽいできごとも見られなくなって久しいようです。
また、現在は実施の中心も地区の実情に合わせて子ども会、町内会、隣組、自主的な団体などさまざまになっています。
【広報みしま 平成28年1月1日号掲載記事】
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