歴史の小箱
(第329号)三島の絵はがき1―記念絵はがき―(平成27年10月1日号)
旅先などで、美しい絵や風景が描かれた絵はがきを見るとつい手にとってしまうという人も多いのではないでしょうか。現在も人気の絵はがきが日本で発行されたのは、私製はがきの作成が可能になった明治三十三年(一九〇〇)以降のことです。
これ以降、専門雑誌の創刊や交換会の開催など、日本で絵はがきが大流行しました。そのきっかけとなったのが、明治三十七年(一九〇四)から二年間に渡って発行された日露戦争の戦勝記念絵はがきであると言われています。
絵はがき人気の火付け役ともなった記念絵はがきは、三島に関するものも多数残されています。
写真[1]は、明治四十年(一九〇七)一月、三島高等女学校(現在の三島北高等学校)で赤十字社田方郡委員会・愛国婦人会幹事会総会が開かれた際のものです。季節に合わせて周囲には梅の図柄が配置されています。
写真[2]は、明治四十二年(一九〇九)九月に行われた第一回静岡県産牛共進会を記念したものです。優れた牛を選ぶ品評会で、当時、三嶋大社の東側にあった戦捷記念館を会場に行われました。写真の周囲を浮き出し加工の縁取りや菊の花で飾った美しい一枚です。
写真[3]は、大正九年(一九二〇)の野戦重砲兵第一旅団(現在の三島北高等学校周辺一帯)完成記念の絵はがきです。隊列と風景をカラフルに周囲に配置し、真ん中に旅団の駐屯場所の全景写真がはめ込まれています。
記念絵はがきはデザイン性の高さや美しさを目で楽しむだけではなく、この地域でどのような行事が行われていたのかを知る歴史資料としても貴重なものです。
【広報みしま 平成27年10月1日号掲載記事】
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