三島の村名2 安久(やすひさ)村(中郷地区)―オテンノウサン― (平成27年9月1日号)

 中郷の各地区では七月初め、夏場のはやり病や害虫の駆除を願ってオテンノウサンと呼ばれる祭が行われます。いくつかの神社では、ふんどし姿の男性が祠(ほこら)に格子状に荒縄をかけた手造り神輿(みこし)をかつぐ勇壮な祭となっています。

 安久では御神楽天王(おかぐらてんのう)さん保存会が中心となって行われ、王子神社内で神輿を造って供物を供え、担ぎ手全員でお神酒(みき)を飲み干した後、太鼓の音と共に夕刻神社を出発します。麦わらが燃やされ、わっしょいの掛け声の中、さかんに水を掛け合い集落全体が盛り上がる様は、まさに男の祭です。夜も更けたころ神社に戻り、荒縄を外した神輿の祠部分を安置して祭は終わりとなります。

 安久では一度途絶えたこの祭が復活して今年で三十四回目。ライフスタイルの変化により各地で伝統行事の存続が危ぶまれていますが、保存会の呼びかけもあり若い参加者も増えてきているそうです。

神輿を担ぐふんどし姿の男たち
▲神輿を担ぐふんどし姿の男たち

【広報みしま 平成27年9月1日号掲載記事】