歴史の小箱
(第284号)お正月3題 暦・三四呂人形・すごろく (平成24年1月1日号)
今月は郷土資料館の資料の中からお正月に関連のあるものをいくつか紹介します。
三四呂人形とは、昭和の初めに活躍した三島出身の人形作家、野口三四郎によるもので、その多くは紙張子の人形です。
三四呂人形 迎春
「迎春」はふっくらとした少女が羽子板を抱えています。また、漆を塗って仕上げている点がほかの多くの作品とは異なっています。三四呂人形はこの「迎春」を含め、子どもや小動物をモチーフにした愛らしいものが多いのも特徴です。
地方暦のなかでも古い歴史を持つ三島暦は江戸時代には旅人で賑わう宿場でも有名な土産物でした。また、暦師である河合家の手代が村々を回って暦の注文を取っていたとの記録も残っており、各家庭への普及率の高さが想像されます。
三島暦 表紙
三島暦 内容
暦の中身を見てみると、お正月の一日、二日には蔵開き、湯殿はじめ、馬乗り初め、商いはじめなどいろいろなことを始めるのによい、という注釈が付いています。
お正月の遊びといえば、羽子板、凧揚げ、カルタやこま回しなどとともにすごろくも親しまれています。この「三島著名商店すごろく」は由来は不明ですが記載されている内容から昭和の前半、おそらく昭和十年前後のものと思われます。商店や飲食店がすごろくのマスになっており、現在の中央町や本町の店が多く紹介されています。また、カフェが四軒もあり、タクシー会社も二社載っています。
三島著名商店すごろく
【平成24年 広報みしま 1月1日号 掲載記事】
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