歴史の小箱
(第286号)食に関するむかしの道具 (平成24年3月1日号)
普段、郷土資料館では展示してある資料を見ていただくだけですが、イベントや団体見学の際には実際に資料に触れてもらう機会を作ることもあります。今回は、そのなかから食に関する昔の道具について紹介します。
【1】石臼
石臼 直径31.5cm,高さ23cm
溝を彫った円形の石を重ね合わせたもので、中心付近の穴から大豆や米を入れ、上の臼を時計と反対に回すと外側から粉が出てきます。回す方向は時計と反対と決まっているようです。この体験できな粉が大豆からできることを知った小学生もいました。子どもには新鮮な体験で喜んで臼を回しますが、偶然そばで見ている人から
「お手伝いでやったのを覚えている」、「よくやらされて大変だった」などといった声が聞こえてくることもあります。
【2】一合枡
一合枡 大きさ8.5cm角,高さ5.5cm
一升びん、一斗缶、米を何合炊くなど、昔の体積の単位は現代の生活にもよく出てきますが、それを実際に量る枡を使う機会はほとんどなくなってしまったようです。穀物などの体積を正確に量ることは社会の安定にとって非常に重要であるため、変形しないように口や木組みの部分が鉄で補強されているものもあります。また、口に
対角線に金具が付いているものがありますが、これは穀物などを入れた枡の表面を棒で平らにする(斗掻きをかける)ときのガイドになるもので弦金物と呼ばれていまつるかなものす。
そのほか、かつお節削りや小麦粉の生地からうどんを作る製麺機などを使ってもらう事もあります。
道具を通して昔のくらしに触れてもらうと同時に、食べ物がつくられる工程を少しでも知ってもらえればと思い、体験の時間を作っています。粉っぽいかつお節や、何も入ってないきな粉など普段出されたら絶対食べないようなものを、おいしそうに食べる子どもがほとんどでほほえましいです。
今は、小学生の見学で主に行っていますが、その横では興味深そうに、または、懐かしそうに眺めている大人の姿を見ることもあります。今後は、だれでもこんな体験ができるよう機会を作っていきたいと考えています。
【平成24年 広報みしま 3月1日号 掲載記事】
歴史の小箱(2011年度)
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