歴史の小箱
(第126号) ~昔のムラが分かる~ 村明細帳 (平成10年11月1日号)

さて、内容は、田畑高とその等級別面積内訳・石盛高【いしもりだか】、用水、村域、田畑の作物、肥料、職業、寺社、土橋、廻米【かいまい】、江戸までの里程【りて】などの事細かいことがらに関してであり、村にあるものについては記し、無いものは「無御座候【ござなくそうろう】」と報告しています。
松本村は幕府領に属していましたから、江戸まで「廻米」(米を送ること)の方法は次のようです。原文は「駿州塩久津湊迄陸路弐里半余附送り舟積仕江戸相廻し申候」とあります。すなわち、現在の沼津市口野(狩野川放水路が海に出た地点)にあった港まで陸路で運び、そこで舟積みして江戸まで送っていました。
また、用水及び松本村の状況について、「君ヵ沢」という小川が用水であり、村は「水損場」(水による被害の多いところという意味)であると報告しています。この時代、村の戸数は31軒。
村明細帳から、はるか昔の松本村の様子を想像できます。
(広報みしま 平成10年11月1日号掲載記事)
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